就活生や転職を考えている方にとって重要なのが「ホワイト企業」の診断法。最低でも5年、10年、長ければ数十年勤める可能性がある企業をどのように診断すればよいのでしょうか。
▼広告代理店での営業マン、教育産業での部長職を経て、キャリアアドバイザー(講演+インターネット事業)として独立した筆者が、ホンモノの成功者を輩出するために執筆しています。
就活生、転職者必見 ホワイト企業の特徴と診断法~実例8社を分析~
一流企業OBが選んだ「もし生まれ変わったら入りたい会社」
「週刊現代」11月28日・12月5日合併号が興味深い特集を掲載しましたので一部を紹介します。サブタイトルは「就職人気ランキングではわからない本当にいい会社」。タイトルは、一流企業OBが選んだ「もし生まれ変わったら入りたい会社」です。
この記事では一流企業45社のOBが「もし生まれ変わったら入りたい本当にいい会社」を1社だけ挙げています。「就職人気ランキング」は大学生がイメージで選ぶものであり、そのイメージは広告費である程度操作は可能です。企業OBが選んだという観点は注目に値しそうです。
45人中4名があえて出身企業を選んだ
45名が選んだ「もし生まれ変わったら入りたい本当にいい会社」の上位は以下の会社でした。
1位 トヨタ
2位(同数) オリエンタルランド、日立製作所、カルビー、東レ
そして注目したいのが、45名中4名が企画の趣旨からはご法度とも言える「出身企業」を選んだ点です。「もし生まれ変わったら入りたい本当にいい会社」と尋ねられれば、他社を挙げるのが取材を受けるマナーかと思われますが、それに反してでもというお気持ちから挙がったのは以下の3社です。
・ソニー … 2名のソニーOBが挙げた。
・パナソニック … 1名のパナソニックOBが挙げた。
・三井物産 … 1名の三井物産OBが挙げた。
これらの企業を研究することで大企業OBが認めた、今後30年以上生き残り、健全な財務を確保しつつホワイト企業として成長しうる企業像が見えてくると考えられます。
※収益性の悪い「ホワイト企業」はいつかつぶれてしまいますので、尊敬することがあっても選んではいけません。
今後30年生き残るホワイト企業の診断法
なぜ再びソニーを選ぶのか
生まれ変わってもソニーに就職したいと答えたソニーOBが挙げた優れた点は以下の通りです。
・社員が自由闊達で、チャレンジ精神を持っていた。
・技術者を大切にし、新技術の開発に投資を惜しまなかった。
かつてのソニーは、社員が部署を超えて社内を自由に歩き回り、新しい技術や商品の話に熱を上げていたと言われています。社員の自由な発想を大切にし、新しい技術やジャンルに投資ができること。これが30年健全な財務を保つことが必要な「ホワイト企業」のひとつの条件でしょう。
なぜ再びパナソニックを選ぶのか
パナソニックを挙げたパナソニックOBは次のように指摘しています。
・松下幸之助が生きていた時代に直接薫陶を受けてみたかった。
パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、ここで指摘するまでもなく稀代の名経営者です。
私は人の話を聞くのが上手です。
私は学問のある他人が全部私よりよく見え、
どんな話でも素直に耳を傾け、
自分自身に吸収しようとつとめました。
よく他人の意見を聞く、これは経営者の第一条件です。
関連記事:他人に興味がなく人間嫌いなコミュ障が生き延びるための超ライフハック
経営者・松下幸之助の魅力は一言では語りつくせませんが、ひとつにはひとりひとりの社員の考え方をよく聞き人格を重んじていた点です。
松下幸之助はあるとき管理職を集めてリーダーの条件について話したことがあります。そのときに挙げた条件が「愛嬌」「運が強そうなこと」「後ろ姿」という意外なものであったそうです。松下幸之助は最後に「あんたがたは、ただ運が良かっただけだ」と捨て台詞を吐いて壇上から降ります。
この逸話は、周囲の人々の「働き」やその人々が織り成す「流れ」を背景に成功しながらも、自分の力だと過信しがちな管理職への戒めになっています。しかし注意してほしいのが、「あんたがたは、ただ運が良かっただけだ」の言葉は、あんた方はリーダーの条件の一つ「運が強そうなこと」を満たしていると是認していることです。この気配りから松下幸之助の人間像が浮かび上がってきます。
つまり松下幸之助は社員でも管理職でも分け隔てなくひとりひとりを大切にしていたと言えます。社員ひとりひとりの人格を重んじること。これが30年健全な財務を保つことが必要な「ホワイト企業」のひとつの条件でしょう。なお、パナソニックは日本津々浦々まで浸透した「ナショナル」の社名を2003年から2008年にかけて思い切って捨て去りました。この先を見据えた思い切りはソニーと共通する点があるでしょう。
なぜ再び三井物産を選ぶのか
三井物産OBながら、生まれ変わっても三井物産へ就職したいとした方の理由は以下の通りです。
人しか資源がないことを組織として認識しており、教育や訓練が徹底していた。入社早々、3000人の従業員を擁する工場の管理を任されたときには驚いた。
出典:「週刊現代」11月28日・12月5日合併号55頁
社員を人材として徹底的に教育、訓練し大きな仕事を任せること。これが30年健全な財務を保つことが必要な「ホワイト企業」のひとつの条件でしょう。ソニーやパナソニック、それぞれ微妙にニュアンスは違いますが、社員の自由、人格、成長を尊重していることはとても似ています。
40人中5名が挙げたローカル企業
同時に注目されるのがほとんどの人が著名企業を挙げたなか、少数ながら(世間の認識では)ローカルな企業名が挙がっています。
・サクラグローバルHD … 武田薬品工業OB。「400年の歴史を持つ、思想と哲学がある」
・大丸建設 … 東京会場日動火災保険OB。「高度な技術を持ち、稲城市で140年続いている」
・村上開明堂 … みずほ銀行OB。「地元に根付き、自動車用ミラーで追随を許さない」
・プレミアライン … 明治安田生命OB。「歯科医院の経営バックアップに特化」
・星野リゾート … リクルートOB。「地方の温泉宿の再生や現代的なリゾート創設」
これらの企業の共通項は「地域への土着と貢献」「専門に特化された事業」「時代性の重視」が挙げられるでしょう。
【まとめ】今後30年生き残るホワイト企業の診断法
・社員の自由、人格、成長を尊重していること
・新しい分野への挑戦を恐れていないこと(=時代性の重視)
・地域への土着と貢献性が高いか
・専門に特化された事業があるか
以上を参考にホワイト企業を選び取られると良いかと思います。もし「下町ロケット」の書籍かドラマをご覧になっていれば、佃製作所がすべての項目を満たしていると考えられます。佃製作所に似た会社を選べばよいということです。
出典:楽天ブックス(クリックできます)
なお入社(転職)後は以下の記事が参考になります。良い会社で能力を蓄え、分岐点ごとに継続、転職、独立の3つから選ぶことでキャリアを重ねていきます。
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