合わない上司は3タイプ パワハラへの対処法


この記事では、会社やアルバイト先における、苦手な上司・合わない上司を3タイプに分け、対処法を説明しています。上司のパワハラに対する対処ができる場合もあれば、部署替えや転職が望ましい場合もあります。

筆者:広告代理店での営業マン、教育産業での部長職を経て、キャリアアドバイザーとして独立。講演年100回。

合わない上司は3タイプ

ある上司を、苦手だまたは合わないと思う場合、生理的な嫌悪感の場合と、単に仕事の進め方が合わない場合があります。

  • 生理的に嫌悪感 … 改善の可能性は少なく、部署の移動や転職が適しています。
  • 単に仕事の進め方が合わない … 対処法があります。

アメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドは、人の仕事へのモチベーションの持ち方を大きく3タイプに分けています。

  • 協調タイプ … 人とうまくやることを優先するタイプ。
  • パワータイプ … 勝ち組になりたいタイプ。手段を問わない。
  • 職人タイプ(達成タイプ) … 周囲との協調でも勝ち負けでもなく、自分で定めた仕事の意義にこだわるタイプ。

デイビッド・C・マクレランドの仕事観3タイプを知ろう

まず、あなた自身が、協調タイプ、パワータイプ、職人タイプのどれに属するか考えてみましょう。次に苦手な上司、合わない上司がどのタイプかも考えてみましょう。すると対処法が見えてきます。

タイプ 特徴
協調タイプ 協調を重視するため、トラブルが少ない。反面、仕事へのこだわりがない印象も与える。
パワータイプ 多くの人を従えることに喜びを見出す。近年は一見謙虚だが、実はパワータイプの人も多い。
職人タイプ 自分のこだわりがはっきりしているが、あまり伝えないため、意図を読めないとトラブルにも。

 

合わない上司がどのタイプかで対処を変えよう

あなたと上司の組み合わせの事例をいくつか挙げておきます。

【激しい対立も】職人タイプ(あなた)とパワータイプ(上司)

仕事の進め方や、売りたい商品・売りたくない商品など考え方があるあなたに対し、上司はとにかく、自分のやり方に従い、売り上げ・数字を上げることを求めてくるかもしれません。

ひとつの会社に、職人タイプばかりがそろえば、会社は売り上げ面で苦戦することとなります。逆にパワータイプばかりそろえば、顧客から信頼を失い伸び悩むはずです。職人タイプとパワータイプは、双方がそろってこそ、互いの欠点を補い合うのですが、お互いに逆の考え方を知らないためうまくいかない傾向があります。

ミュージックステーションの司会で知られるタモリは、自分と違うベクトルをときには引き受け、違いを楽しむことができる人を「ジャズな人」と呼んでいます。ジャズには、本来相容れない拍子(リズム)を同居させるポリリズムという手法があるからです。もしあなたが職人タイプの場合、自分の価値観のみで走り抜けていく、自分へのブレーキ役としてパワータイプの上司を設定してください。上司の戦略にも一理あるはずです。ただし、パワータイプの上司の戦略が時代遅れである、あるいは明らかに誤っている場合は、部署替えや転職しか選択肢はなくなります。

② 協調タイプ(あなた)とパワータイプ(上司)

パワータイプに合わせるのが得意な協調タイプと、影響力を行使したがるパワータイプは相性が抜群です。上司はまねる姿勢、学ぶ姿勢の強い協調タイプの部下をかわいがり、とことん面倒を見ることがあります。

ただし、仕事の進行がタイトな場面では、上司はガツガツいかないあなたに対して不満を持つかもしれません。ただ、これは一時的なものなので、多少ぎすぎすしても時間がたてば落ち着いてくるはずです。

【激しい対立も】パワータイプ(あなた)とパワータイプ(上司)

あなたも上司もパワータイプの場合、一時的にはうまくいくことが多いと思います。パワータイプは、上下関係を壊すことはないので、とくにあなたが若手社員や契約社員などの場合、平穏に時間が過ぎることがあります。

しかしあなたが仕事に慣れてきて、周囲に影響力を持ち始めると、パワータイプの上司は敵意をむき出しにする場合があります。この場合、あなたがあなたの周囲に指示を出すたびに、面倒でも上司の許可を取るとよいでしょう。上司が唯一の司令塔であるというムードを形成していきます。

④ 職人タイプ(あなた)と職人タイプ(上司)

職人タイプ同士なら、お互いに相手のことには口を出さないため、あまりトラブルになることはないでしょう。ただし、同じプロジェクトに取り組むときや、会議の席上では、思わぬ対立を招くこともあります。日頃うまくいっているからと言って気を抜かず、上司のこだわりをよく理解しておくとよいでしょう。

⑤ パワータイプ(あなた)と協調タイプ(上司)

あなたがパワータイプで上司が協調タイプの場合、あなたが上司をふがいなと思うこともありますが、やりたいようにやらせてくれるため、あまりトラブルにはならないでしょう。

もっとも面倒なのはパワータイプの上司

以上、いくつかのタイプを見てきましたが、トラブルメーカーは、パワータイプの上司であることが分かります。協調タイプで自分より能力が低い部下を取り巻きに置き、こだわりがある職人タイプや、影響力を持つパワータイプを敬遠し、迫害することがよくあります。

面倒なことに、企業ではパワータイプがリーダーに選ばれやすく、また近年隠れパワータイプが増えていることも問題を複雑にしています。パワハラという言葉ができ、部下の権利が認められてきたことで、パワータイプの人が、あからさまでない形で部下にプレッシャーをかける傾向が出てきているのです。パワータイプの上司とトラブルになった場合には、こだわりを見せずに忠誠を誓うことが、無難な解決方法です。

なお、3つのタイプは複数にまたがることが普通です。パワータイプで職人タイプの上司は、部下を従えることに喜びを感じ、さらに仕事の方法論が狭いため、トラブルが頻発します。実力を兼ね備えてパワータイプや職人タイプの部下がこのタイプの上司と出会ってしまった場合、改善の余地はほぼないため部署替えか転職がおすすめです。

【まとめ】合わない上司は3タイプ 対処法

職人タイプ、パワータイプ、協調タイプがそろうことで、どのような組織もうまくいきます。違うタイプが近くにいることは、会社にとっても、自分自身の成長にとっても、メリットがあります。

  • パワータイプ … 車のアクセルのような存在です。道路標識を無視してでも先へ進みます。
  • 職人タイプ … 車のハンドルのような存在です。正しい道、意義がある道を選ぼうとしますが、速度が落ちても気づかないことがあります。
  • 協調タイプ … 「車内」の空気のよどみを解消する、エアコンのような存在です。

アクセル、ハンドル、エアコンのない車には誰も乗りたくはありません。しかし、前述のように、パワータイプ、とくに職人タイプが掛け合わされたタイプの上司は、複数の部下とトラブルを生みます。このタイプから逃れられない職場であれば、部署替えか転職が解決策であり、無理は禁物です。

パナソニックを創業した松下幸之助は、聞き上手で穏やかな人柄が知られていますが、若い頃は正反対だったと言われています。もともとは、パワータイプだったのでしょう。しかし晩年には、協調タイプ・職人タイプの特性も兼ね備えた名経営者になりました。

20代の社員もいつかは、3つのタイプを兼ね備えた上司を目指すとよいと思います。

  • 20代 … 職人タイプ、パワータイプ、協調タイプのうち1つを伸ばす。
  • 30代 … タイプを1つ増やす。
  • 40代 … 職人タイプ+パワータイプ+協調タイプの3つの面をアウフヘーベンする。

このような流れが望ましいと言えるでしょう。実際には、職人タイプ+パワータイプ+協調タイプの3面をあわせ持つ上司や経営者はm限られます。限られるということは、早くその境地に到達すれば成功が可能と言えるわけです。

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